立川志隆が出前落語
〜老人福祉施設などでボランティア〜
「今後、寝たきりや独り暮らしにも」
落語の「立川流」門下生で、ギタリストでもある異色の「新進落語家」が、老人福祉施設などでボランティアの出前落語に取り組み、好評だ。
「立川志隆」こと濱崎隆さん・横浜市港北区在住。書店店長を務めながら芸を磨いた素人だが、持ちネタの古典落語は80近く。濱崎さんは「落語はリフレッシュ効果をもつ笑いのセラピー。これからは寝たきりや独り暮らしなど、外出しにくいお年寄りにも笑いを届けたい」と意欲的だ。
濱崎さんと落語との出会いは小学5年生。ラジオから流れる落語を聞くうち、魅力にとりつかれた。テレビやラジオの寄席番組を録音して、80近い古典落語を独学で覚えた。
10年前、友人との旅行の宴会で一席ぶったところ、「予想外のバカ受け」で、これに気を良くし93年9月に立川談志師匠の立川流Cコース(社会人対象)に入門した。埼玉県和光市で書店の店長を務める傍ら芸を磨き、97年5月には「立川志隆」の名をもらった。「立川志隆の会」と銘打ち、友人のホームパーティーなどで披露するうち、口コミで評判が広がり、老人福祉施設や幼稚園、小学校などから声がかかるようになった。昨年の高座は首都圏を中心に113回を数え、今年もすでに50回に上る。
濱崎さんは高卒後、音楽関係の専門学校に通ってクラシックギターを学んだ。ギタリストとして演奏活動の経験もあり、そのため会はクラシック音楽の演奏会と、
落語の2部構成だ。
現在は出前落語に専念するため書店を辞め、自宅でギター教室を開いて生計を立てる一方、素人向けの落語塾で腕を磨く。周囲からプロへの転向を勧められることもあるが、「プロになれば、現在のような自由な活動ができない。今は落語の楽しさをたくさんの人に広める役割に徹したい」と話している。
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